表紙の作品 「晩秋羊蹄山」 1952年 油彩・板 24.0×33.2cm 札幌芸術の森美術館蔵(坂野コレクション)
開催中の特別展示「木田金次郎と1950年代」展に展示されている当館初公開作品。札幌芸術の森美術館の「坂野コレクション」の一点である。 「坂野コレクション」は、札幌の大手製パン会社に勤務していた坂野守氏(1927-2002)が、私財を投じて集めた絵画コレクション。比較的小品が多いのは、サラリーマンとして長く収集に取り組もうとしたからに他ならない。 このコレクションの柱は、「北海道美術史」の流れをたどるという視点である。坂野氏が今田敬一著『北海道美術史』(1970年)に触れ、同書の流れに沿って北海道美術史が俯瞰できるコレクションが形成された。その一点として、木田作品が収められている。 「晩秋羊蹄山」。堀株から眺めたその姿は、朱に輝き、スケッチ板上に表現されたタッチは、1950年代初頭から現れはじめた大胆さを伴っている。小品ながら優れた作品である。私もかつて、札幌・宮の森に坂野氏を訪ねたことがある。足の踏み場がない程に部屋中に架けられ、置かれた作品に圧倒されながら、坂野氏の絵に対する愛情をうかがったことが記憶に残る。 坂野氏の遺志により、没後コレクションの一部が札幌市に寄贈され、「坂野コレクション」として受け継がれている。「木田金次郎と1950年代」展では、このほか野口彌太郎・松島正幸・中居定雄作品が、同コレクションからの出品である。 (学芸員 岡部 卓)