今年は「昭和100年」、「戦後80年」という節目の年です。
画家・木田金次郎(1893-1962)が本格的に画業をスタートしたのは、大正中頃と言われていますが、その画業の大半は「昭和」にあたります。
木田の制作は故郷・岩内と密接に結びついていました。木田が描いた風景は、その時々の時代を写し取ったものであり、花や果物などの静物画でも、木田の生活に密着したものが描かれています。
今回の展示会では、木田の画業を通じて、昭和の暮らしに焦点をあててみたいと思います。
木田の作品に描かれている、漁船や馬など、また、木田のアトリエにのこされた、ラジオや電報、手紙など―。昭和の時代には身近に存在した事物から、いくつかのキーワードを取り上げ、暮らしの中に息づく昭和の要素にクローズアップし、生活史とのかかわりからも、その魅力に迫ろうとするものです。
昭和が終わって37年。年代によっては、懐かしさを覚える方や、未知の憧れを抱く方がいらっしゃるかもしれません。「昭和100年」にあたる節目に、木田の作品世界から、昭和の暮らしを振り返る機会となれば幸いです。